Chapter1『思念素の世界の少年達』

13/31
前へ
/1152ページ
次へ
 レールには、ライトカーのセンサーにつけられた思念式の効果の発動領域を狭めるための仮装思念式がある。発動領域が狭められるということは、不安定に分散していた力学エネルギーが一点に集中し、安定した状態になる、という原理だ。  こうしてライトカーとレールを思念式同士で強く結びつけることによって、道を外れて地面に真っ逆さま、なんてことは起きないように出来ている。  思念式は、思念素(スピリウム)エネルギーを操る特殊な記号式で、今の人々の生活には、電気や資源と同じようになくてはならない技術の一つである。  唯一、生物の感情以外で思念素エネルギーに干渉できる鉱物、グラーフ石を溶かしたインクで特殊な紋様を刻み込み、そこに思念素エネルギーを流す事で、思念素が物質として存在する情報異次元、レベレート次元にその内容が出力され、情報が組み込まれる事により、現実世界に現象として帰ってくる。  このレベレート次元に出力するという理屈に関しては、能力者の能力もほとんど同じ理論だ。  その種類は能力者(スピリッター)の能力と同じく千差万別、多種多様で、日常生活でも頻繁に使う発電、発熱の思念式から、一般には使われていない軍事用の思念式まで、今現在世界には四五〇種類の思念式が存在する。
/1152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加