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Chapter1『思念素の世界の少年達』
一九七五年、先の大戦、および大災害により大きく傷ついた人類は、微かな資源と技術を手元に、再興の時を今か今かと伺っていた。
そんな折、アメリカ、ニューヨークの研究所にて、従来の科学を根本から覆すような大発見が行われた。
ESP・オカルト・魔法・怪奇現象──数多の事象を無条件に発生させる因子をレベレート次元と呼ばれる情報帯高次元の中から観測し、その非物質元素を思念素と名付けた。
思念素。
それは人間の感情・精神の力で情報を構成し、様々なエネルギーに変換するという、前代未聞の元素だった。
この発表を機に、世界中で急速に思念素の研究が進んだ。
ドイツは電気刺激を用いて思念素に干渉する鉱石を発見し、フランスが世界初の思念素エネルギーの半永久的供給機関を開発。同時に、特定の事象を発生させるための術式である思念式を発明し、各国の研究者の涙ぐましい努力で、それらは実用化に成功。思念素は瞬く間に人々にとって身近な存在となった。
もはや徒らに資源を貪るだけの旧科学は衰退し、無限とも言えるエネルギーソースを有す思念素を中心とした新たなる科学の時代の幕が開いた。
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