夜のデパート

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 アリカちゃんたちは気を取り直すとまたケーキを探し始めました。次の階に無いとわかるとエスカレーターに乗り、上ってはまた探しました。中々ケーキは見つからず、どんどん上の階に上っていきます。  ある階では家具たちがどのインテリアが良いか試していたり、別の階ではテニスのラケットやゴルフクラブなどのスポーツ用品たちが野球をしていたり、ミシンや縫い針たちが服を作っていたりしました。しかし、どこにもケーキはありませんでした。  アリカちゃんたちはなかなか見つからないのであきらめようかと思いながらまたエスカレーターに乗りました。すると、上るにつれだんだんと賑やかな音がして来ました。 「何の音かしら。」  到着してエスカレーターを降りるとそこでは鮮やかなイルミネーションが光り、楽しい音楽が流れていました。観覧車やコーヒーカップがクルクル周り、ゴーカートが走り回っています。そこで遊んでいるのは動物の着ぐるみやヒーローショーに出ているヒーローや怪獣たちの着ぐるみでした。なんだかとっても楽しそうだとアリカちゃんは思いました。 「こんばんは。」  立ち止まって広がる光景を見ていたアリカちゃんたちにウサギの着ぐるみが声をかけてきました。 「こんばんは。ここは何ですか?」  アリカちゃんは聞きました。 「ここは屋上遊園地よ。良かったら、あなたたちも遊んでいかない?」  ウサギにそう言われたので二人はたちは喜んで遊ぶことにしました。  アリカちゃんたちはメリーゴーランドやコーヒーカップに乗って目を回したり、ゴーカートで屋上を探検したり観覧車で夜景を眺めたり、楽しくてついケーキのことなど忘れてしまいました。  そして、アリカちゃんたちが再びメリーゴーランドに乗っていると突然、音が止み、イルミネーションが消え、すべてのアトラクションが止まりました。そして着ぐるみたちがあわてて隠れ始めました。
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