第5話 まんびき

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第5話 まんびき

看板に『田中書店』と書かれた店が夕日に照らされていた。 店内には本の整理をしているおじさんと、 学生のグループが数組いる。 「・・・・・・今ならいけるぞ!」 高校生3人のグループが、おじさんの目を盗んで 本をカバンに大量に入れる。 そして、何食わぬ顔で店を出る。 しばらく歩き、店からある程度 離れたあと、 3人はハイタッチをした。 ◇◆◇◆◇ カラオケボックスの部屋の中。 高校生たちはカバンから万引きした本を取り出してテーブルに並べていた。 「いぇーい、大量、大量!」 茶髪の男が嬉しそうに言う。 「ま、そこそこじゃね?」 童顔の男は本を巻数順に並べる。 「汚すなよ、高く売れなくなるからよ」 メガネの男はスマホでオークションサイトを見ながら言う。 「分かってるって!でも、ほんとあの店チョロいよ!」 「おじさんが一人でやってるし防犯カメラも無い から取り放題だしね」 「よし出来た!『おうとつキング』新品1巻~15巻一万円で売るぞ」 「おっけー!」「了解!」 メガネの男がネットオークションで本を出品する。 「それじゃ、なんか注文しようよ!」 童顔の男がそう言う。 「んじゃ、俺はコーラとポテト」 茶髪が言う。 「俺は緑茶とたこ焼き」 「分かった!」 童顔が部屋の備え付けの電話で注文をする。 「じゃあそれで」 注文を終え、受話器を戻す。 「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」 メガネの男が立ちあがりドアに向かって歩き出した。 その時、ドアが開けられ、 『中性的な顔で黒髪で、白Tシャツにジーパン』 姿の人が入ってきた。 「?」 向かい合ったメガネの男は突然 部屋に入ってきた 人に驚く。
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