いなか者の集まりの中で

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ここは、とある所の中学校である。余所者を受け入れない排他的な所がある地域の中で、一人クラスで浮いてる子がいる。 その子の名前はケイである。他県の方言を理由に誰からも受け入れてもらえないのだ。その子は、他のクラスの子と遊ぶようになった。遊び相手の名前はスーである。やはり、両親と一緒に他地域から転入したのであった。 中間試験が終わり、通知表が渡された。下から数えた方が早い順位には慣れてる両親はそれで叱ることはしなかった。 2人は同じ部活動に参加している。試験が終わり、部活動を再開した2人は、大会に向けて練習するようになった。強豪チームではないバドミントン部のダブルスを組んで試合に出場することが決まってる。 試合の日がやってきた。最初からの対戦相手が優勝候補であるので、結果は戦う前から見えていた。県大会で惨敗したが、臆することなく涼しい顔で学校へ戻った。 その2人には引退が迫った。 学力も部活動の成績も悪い2人には受験できる高校が限られている。底辺高校に願書を出した数ヶ月後に試験日がやってきた。2人とも1年生程度の設問をとにかく埋めて帰宅した。 後日、学校に合格通知が来た。それぞれの両親は家で合格祝いをした。 そうするうちに卒業式の日が来た。卒業証書を授与された卒業生は校門を出るとそれぞれの家へ帰宅した。 実はケイの父親に辞令が出て、2人が会うのはその日が最後となった。春休み中に引っ越しを済ませたケイの家は高校の入学式までには、もぬけの殻となった。 あれから50年経った。若いうちに他県へ行ったケイの消息はスーにはわからない。スーは、あの時の自分と同じ年になった孫の相手をする老人として過ごすのであった。
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