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「佐藤主任、ちょっといいかね?」
「伊藤課長、どうされました?」
「私が企画した寒中水泳大会なんだが、参加者が全く集まらないんだ。社長が大絶賛してくれたイベントだから失敗する訳にはいかない。佐藤主任のグループは強制参加とさせて貰うよ。結果は期待しないから安心してくれ」
現在の気温は三度。寒中水泳大会と聞いただけで震えてしまった。
佐藤の務める会社は大きく、様々なレクリエーションを推進している。出来れば仕事に集中したいのだが、直属の上司からの命令では参加せざるを得ない。
仕方なくグループメンバーを集め、緊急会議が開かれた。
「……という訳で、寒中水泳大会に参加する事となった。山田、鈴木、田中、高橋。やるからには全力で行くぞ」
佐藤の纏めるグループは、常に営業成績トップのエリート集団。全員が高学歴で眼鏡を掛けている事から、チーム・メガネと呼ばれている。
「私の分析をお見せしましょう」
「俺に任せて下さい」
「女だからって、甘く見ないでね」
「僕だって頑張ります」
チーム・メガネはインテリの集まりだ。体を使った競技では誰も期待しないだろう。
だが、この者たちの底知れぬ力を侮ってはならない。
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