アンバーの箱庭

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「美味しいよ」  テオドールも、少しだけ表情を緩めて、クッキーを出すと言った。 「昨日と同じで悪いな」 「そうだったかな。まぁ、テオドールの作ってくれるものなら何でも俺好みだからいいさ」  そう言えば、テオドールはまた少し表情を曇らせた。彼がクッキーを取りに行く、その背中をじっと眺めているととろとろと緩やかな眠気に襲われた。瞼が自然に下りてくる。 「大地……?」  折角、クッキーを持ってきてくれたというのに、彼が戻ってきた頃には、眠気も限界に達していた。こくり、こくりと船を漕いでいるのを感じつつも、止めることが出来ずに両手を付く。抗いきれない睡魔と闘うのを諦め、大地はとうとう机に沈んだ。ふわり、と何かがかけられたのを感じたのを最後に、深い眠りに落ちていった。
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