アントルラセする運命

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「一旦家に帰るのか」 「いえ、午後のレッスンが始まるまで事務所にいます。何かあったら声をかけてください」 そう言って頭を下げて踵を返す。 柔軟をしていた女の子達が輝く笑顔で私に向かって手を振ってくるので、それに小さく手を振り返し、レッスン場をでた。 廊下を歩いていると、向かいから生徒と一緒にレオンさんが歩いてきた。 「マドカ!」 「おはようございます、レオンさん。3年生のレッスンでしたっけ」 「ああ、今さっき終わったところ」 ありがとうございました、とレオンさんに声をかけて廊下を走っていくレオタード姿の女の子達の姿を見送る。 「サクロヴィーシェ・アカデミーの生徒も増えたね」 「一年半、経ちましたもんね」 同調するようにそう言うと、レオンさんは懐かしむように目を細めた。
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