アントルラセする運命

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サクロが創立されて一年と半年が経った。 ローズファミリーもローザ・バレエ団からサクロヴィーシェ・バレエ団に正式に籍を移し、今では管轄下にあるサクロヴィーシェ・アカデミーの先生をしつつ、サクロの団員としてレッスンに励んでいる。 皆、あの頃から少しずつ前に進んでいるが、私は今も昔も相変わらずだった。 雑談しながら事務所へ入ると、ソファーでゴロゴロしていたスンヒュンさんがぱあっと笑顔になった。 「おはよ、マドカ!お疲れ、レオン!」 「疲れたよ、スンヒュン。隣開けて」 そう言ってスンヒュンさんの隣にドサリと座ったレオンさんは、スンヒュンさんの肩に頭をのせた。 そんなレオンさんの頭を撫でてスンヒュンさんはクスクスと笑った。 「ローズファミリーで唯一の三十路だもんねえ、レオンは」 「失礼な事を言うのはこのお口かな?」 ぶにゅ、とスンヒュンさんの頬をつねったレオンさんは不機嫌そうに唇を尖らせた。
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