第一章

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午前中は自室待機を言い渡されていた学生たちは、昼食前に講堂に集められた。 黒い制服に身を包んでいるので、意図せず喪に服した形になっている。 集められた理由は、亡くなった生徒のことだろう。 予想がついていた生徒たちは、小さな声で憶測を交えて会話していた。 それが不安からくるものではなく、平凡な日々に舞い込んだゴシップを話しているようにみえてミノリは顔をしかめた。 「静粛に」 いつもとは違い、ヒソヒソ声での学生たちの話し声は校長の一声で見事に止んだ。 校長がマイクを通して話す内容は、朝に聞かされたものと大差なかった。 ミオか死んだこと。原因は調査中であること。引き続き学園で調査は続けられること。 追記として、 それに伴い本日、もしかしたら数日間は学校を閉鎖することが決定されたので、生徒たちは寮にて待機するように言い渡されたのだった。 ミノリは学校側の発表に違和感を抱いたが、この場で声を出すことは憚られたのであとで誰かに聞こうと胸にしまった。
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