27人が本棚に入れています
本棚に追加
寮で待機するようには言われたが、自室にて待機とは言われてはいない。
勿論、死を悼む者もいたが、大半は降って沸いた「休日」に浮き足だっていた。
寮の含まれる自室、自由室、食堂等々に彼らは居るので、学校からの言い付けはしっかりと守っていることになる。
学園すべての生徒がミオ知っている訳ではないし、仕方ないのかもしれないが……。
談話室は空いている席がないほど埋まっていたし、廊下でも立ち話をしながら笑い声が響いている。
ひと一人が死んだのに、突然居なくなることが怖くないのだろうか? それに不謹慎だわ。別に泣いて悲しめ、とは言わないが……。
スマの部屋の扉をノックするときに、怒りからか力を込めすぎてしまった。
「ずぅいぶん元気が良いわね」
少し苦笑しながらスマが顔を出す。
「……ごめんなさい」
「冗談よ、入って」
暖かな部屋に招き入れられる。
スマは二人部屋だが、同室の子は談話室へと行っているらしい。
左右対称に勉強机、棚、ベッドが配置されている。
部屋の真ん中には仕切り用のカーテンが設置されている。
スマは椅子に座り、ミノリはスマのベッドに座るように促された。
「スマちゃん、急に来てごめんね。聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと?」
講堂に集められて校長の話を聞いたときに感じた疑問点をスマに尋ねようと来た旨を説明する。
校長はミオの死について「学園側」で調査をすると言ったが、警察がくることは何も触れていなかった。
普通、ひと一人が亡くなっているのだから警察がくるものではないのか? 先生に聞く訳にもいかず、ミノリはスマの元を訪れたのだった。
「学園は警察、いや外部を頼る気はないと思う。……ミノリはこの学園にきて、どれくらい経つ?」
「大体、一年は経つと思うけど……」
「じゃあ、あの出来事は、ミノリが来る前に起きたことね……」
最初のコメントを投稿しよう!