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「なんだか、怖がらせてしまったかしら」
スマは眉を下げて苦笑した。
「ううん……そんなことは、ないよ」
ミノリは否定を口にしたが、自分でも分かるくらいに嘘臭かった。
「そろそろ昼食の時間ね。どうする? 食べに行く?」
「……お腹は空いてないから、私は、お昼はいらないや」
空腹を感じていなかったのもあるが、朝のように食堂で感じたような皆からの視線に耐えられそうになかった。
「無理に食べろとは言わないけれど、なにか食べないと体が持たないわよ……飲み物と何かつまむものを取ってくるから、いつもの場所に行きましょう」
待ってて、とスマは止める間もなく出ていってしまった。
ミノリは静かな部屋の窓から、あの日と同じように景色を眺めた……。
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