27人が本棚に入れています
本棚に追加
ギイギイと木造の階段を踏む音が此方に近づいてくる。
屋根裏部屋へ向かう階段は一つしかないので、足音の主はこの部屋に向かっている。
泣き止まなくては!
第一印象が大切なのに。
こんなみっともない姿を晒すのは恥ずかしい。
しかし、無情にも足音は部屋の前で止まり、扉がノックされる。
どうしよう、どうしよう。
居留守を使うか?
いや、後で居留守が発覚した時のことを考えると…
…あぁ、でも!
「転校生さん、いるかしら?」
ソプラノの声に、いよいよミノリは体をすくませる。
「……はい、います。どうぞ」
逡巡の後、弱々しく返事をした。
スポットライトのような天窓の夕陽に照らされて現れたのは、黒髪の美しい少女だった。
グズグズとみすぼらしく泣いている自分と、なんと対称的なことだろうか。
これが、ミオとの出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!