第一章

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「一緒に朝ごはん、どう?」 ノックの主はミオだった。 慣れない生活に戸惑うミノリを気遣ってくれているのか、朝食のお誘いだった。 またしても泣いている所を見られ、涙ではなく汗が滲む。 情けない姿を何度も見られ、もう好きにしてくれ、とミノリはなげやりな気持ちになった。 手早く支度をしたあと、食堂への道を二人で歩く。 朝食を終えたら直ぐに学校に向かうので、ミオもミノリも制服を着ている。 制服ができる前に転校してきたので、ミノリは皆と異なるセーラー服を着ている。 気を使われているのか、隣を歩くミオは何も聞かなかった。 申し訳なさが込み上げる。 「あー、ミオさん。その……」 「ミオで良いよ」 同級生なんだから、と小さくミオは微笑む。 いきなり呼び捨てはハードルが高く悩んだ末、 「……ミオちゃん」 敬称を付ける呼び方に着地した。 「あの、質問があって……誰も私の制服が違うことに何の違和感を持ってなさそうなの」 ミオだけではなく、すれ違う寮生も見向きもしない。 ……私のことを、眼中に入れていないだけかもしれないが。 自虐的な言葉を飲み込み、訊ねる。 「あぁ。転校生で制服が間に合わない子はたまにいるから。慣れっこなのよ、皆」 事も無げに言われて、ミノリは拍子抜けした。 「そうなの?」 「そうなの。さ、食堂に着いたわ。友達を紹介したいの! 良いかしら?」 一人でも多く友達が欲しいミノリには願ってもない話だった。 「勿論!」 笑顔でミノリはミオのあとに続いたのだった。
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