27人が本棚に入れています
本棚に追加
怒りを堪えるミノリの拳は真っ白になっていた。
「……ミノリ、待って。言わせておけば良い」
ミノリは怒りで立ち上がろうとしたが、スマに止められた。
「でも……!」
「スマの言う通りだ。放っておこう」
寝不足からか、充血した瞳のタカユキもミノリを宥める。
「ほら、紅茶でも飲め」
正面に座るアズマが、落ち着かせるためかカップを勧める。
温かなカップの温度に触れて、先程までの勢いが萎れていくのが分かった。
それに、皆からこれだけ諭されてはミノリは黙るしかなかった。
「……ありがとう」
ちびちびとティーカップに口をつけて、喉を潤す。
「自殺の原因は三角関係だって?」
気付いていないのか、態となのか、アズマの後ろに座る男子生徒が言い放った。
「タカユキとアズマを選べなくて悩んでたって聞いたぜ?」
下卑た笑い声を上げ、男子生徒が視線をこちらへと寄越す。
あの人、わざと聞こえるように言ってるんだ……!
最初のコメントを投稿しよう!