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「……ミオに相手されなかったから、仕返しか?」
怒れるミノリの前でアズマが静かに、しかしはっきりと聞こえる声で言った。
「あ?」
男子生徒は静止し、周りで囃し立てていた者たちも表情を強ばらせた。
「聞こえているんだろう?」
アズマは立ち上がり、男子生徒を見下ろす。
ミノリからはアズマの背中しか見えなかったが、立ち上る憤怒を感じることはできた。
皆息を殺し、成り行きを見守る。
「二度は言わない……みっともない奴だな、お前」
言い終わるや否や、アズマは頬を殴られた。
女子生徒たちの小さな悲鳴が上がる。
「……先に手を出したのは、お前だからな」
アズマは唇の血を強引に拭い、ただの確認作業のように呟やく。
次に殴られたのは男子生徒だった。
周りの生徒が慌てて仲裁に入るが、勢いは収まらない。
アズマの力が強すぎるのだ。
数人でアズマを押さえにかかるが、直ぐに振り払われてしまう。
獰猛な獣の様な姿に、ミノリは思わず硬直してしまった。
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