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「……なんで、自殺だってことになってるのかな」
ポツリと呟いたミノリの言葉に、タカユキが反応した。
「……確かに、ミオは危うい所があったかも知れない」
噂を肯定するような発言に、ミノリは驚いた。
ミノリが思うミオは、危うさの欠片も持っていなかった。
むしろ、挫けそうなミノリに手を差し伸べてくれる強さをもつ少女だった。
けれど。
ミオが死ぬ訳がない。その理由を、ミノリはブレザーのポケットに忍ばせていた。
「……なにかあったんだとしてもクリスマスのミサまでは、ミオちゃんは自殺する訳がない、と、思う」
「どうして?」
自信がなくなり、ミノリは途中で小さな声でモゴモゴさせた。
間髪入れずにスマに問われ、ミノリは視線を上げることができずに縮こまった。
「昨日、ミオちゃんの書いたメモを見つけたの……内容は、ミオちゃんのプライベートに関わるものだから、詳しく言えないけど……クリスマスミサをとても楽しみにしてるってあったから、だから……」
だから、だから……と三人からの視線に耐えきれず、とうとうミノリは涙を溢した。
しかし、このまま泣いていても状況は変わらない。ミオに対する不名誉な噂を晴らしたいのなら、自分で道を切り開かなければ。
「だから。私は、どうしてミオちゃんが死んだのか調べようと思う」
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