第一章

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「……まぁ、ミオが自殺ではないと思った理由を詳しくは聞かないわ。 ミオがクリスマスのミサを楽しみにしてる、って言ったわよね? でも、その楽しみを越える何か辛いことが起きて自殺したんだとしたら?」 指で顎を擦りながらスマはミノリを見つめた。 「ミノリの中で、ミオは自殺じゃないっていう結論ありきになっているんじゃない?」 スマの指摘は最もだったし、図星だった。 憧れの人が自殺なんてしない。そんな思いがミノリの中にはあった。 見透かすように指摘され、ミノリは頬を紅潮させた。 ミオの名誉のためと謳いながら、自身の自尊心のためなのではないか? そんな疑問が沸き上がる。 そもそもミオがどんな人物であるか語れるほど、自分は彼女について詳しいだろうか? 励まされたり、相談に乗って貰うことはあったが逆は? 一方的に寄りかかるだけの関係だったのではないか。
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