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月が紅く染まった。刻が紅く染まった。
「あはははっ!」
透き通った声を路地裏に響かせる。ピチャピチャと足ものと血が舞う。
ザッザッ…
石畳を擦る靴の音が聞こえた。
千景は「ん?」と首を傾げた。
「お前はやはり…」
「あーあ、そうだねー…もう夜が明ける…明けない夜だけどね、そうだよね碧の空?」
空を睨んだ。
「あぁ、そうだな…紅い夜が終わる、一体どれほどの命を奪った、お前は…」
「貴女よりも多く…かな?」
その瞬間、空が千景の首をめがけて飛んだ。だが、それをフッと交わして空の腕を掴んだ。
『やめてもらえる…?主人のコレはもう直ぐ終わる。君も気づいているだろ?』
千景の身体を通じて何かが空に語りかけた。
「…。」
『だからさ、次の紅い月の時に荒野で待っているよ。主人にも伝えとくよ、碧の空…決着だ。』
千景、いや中の者が空の腕をそっと離した。クルッと回って去ろうとした。髪が華麗に舞う。
「お前は…誰だ?」
【何か】はニヤリと笑って姿を消した。
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