星は落ちて月は昇る

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「三つ目のって…?」 千景はきょとんとした。 ありえないものを見たように。実質、ありえないのだが。 『三つ目は[絶望]というものの具現化、お前は気づいてたと思っていたんだが…泣いてるんだせお前!時々な!』 ハハッと男が嘲笑う。 『まあいいけどな。』 『先に三つ目の質問に答えよう、俺の名前言えるか?主人』 男は少し笑いながら千景に問う。 「ええ、もちろん。貴方は村雨。妖刀村雨。」 『正解!嬉しいぜ、主人』 村雨は目を瞑り、嬉しそうに言った。 『そう、俺は村雨。妖刀として神に仕えたとされる刀だ。だけど、それは伝承という呪いだ。実際は、どこぞの誰かさん─お前の師匠様が、ただの刀を九十九神まで引き上げた。その方法は殺戮。“人を殺す”とは違う、ヒトという概念すら持たずに殺す、とか言っていたが……。ま、何でも殺せば血を受ける。血は魂の従属者…あとは言わずもがな、汚れた神様の出来上がり。以上。』 声を暗くして村雨は喋った。 「師匠は何で…そんな事を…」 『さーな…“神性”というギフトをつけたかったんだろう。そうすれば、不死という概念すらも切れるからな。』 「!?」 千景は反応した。 不死を、概念を──斬れる。 全ては相性だ。 人は神に抗えず、さしてそれは不死という人の作り上げた呪いは神に敵うことはない。 『あーでも────』 無音。 神はニヤリと笑う。 千景は息を飲んだ。 『お前は俺の力を借りないんだっけ?』 「……」 ─そうか、あの時、私は。 ─力を借りないと言った。 ─力とは属性そのものだったのか。 千景は考えた。しかし、 「それでいい!それしかない!自身の力で勝つと言ったんだ、でなければ勝負じゃない!」 無限に広がる白い空間に、声が響き渡る。 『あぁ…それでこその主人だな…』 その声は期待か、絶望か、はたまた嫉妬か。 「それで、碧の空、というのはなんなの…?」 『あぁ、それは自分で確かめろ。大したものじゃないが、アレは人の手に及ばず…しかして人の手でなければ対処できないヤツだ。』 千景は分からないという表情をした。 人の手に及ばずして、人の手でなければ対処できず… それは矛盾。 『お前が無理だと思ったのなら、俺の名前を呼べ。そうすれば、余興にでも乗ってやるよ。』 「…ええ…でも、それは必要ないと証明する。」 白が消えた。
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