0人が本棚に入れています
本棚に追加
「名前は?」
「わしか?わしは浜松権蔵だが、あんたこそ何者だ?」
「私はここに勤務している警察官です」
「けいさつかん?なんじゃそりゃ」
「警察官は警察官です」
「そんなもんは知らん」
浜松と名乗るその男は、訝し気に羽生を見ている。
「そもそも、なんでわしがこんなところに招かれなきゃならんのだ」
「住所と連絡先は?」
「おい、人の話を聞いとるのか」
この歳で呆けてるのか、と羽生は思った。そもそも羽生は出現事件など眉唾物だと思っている。
「はいはい、あなたの質問には後程お答えしますから、住所を教えて下さい」
「ん~、どこだったかのう」
やはり呆けているようだ、と羽生は思った。
「あなたは、どこから来たんですか?」
「何処って…ああ、ついさっきまで、宴会しとったんじゃ」
「宴会?」
「おお。酒も料理もタダでな、食べ放題、飲み放題で、そりゃあもう」
なんだ、酔っているだけか、と羽生は思った。
言われてみれば少しだけアルコール臭がするような気もする。
最初のコメントを投稿しよう!