失踪の反対は出現?

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「名前は?」 「わしか?わしは浜松権蔵(はままつごんぞう)だが、あんたこそ何者だ?」 「私はここに勤務している警察官です」 「けいさつかん?なんじゃそりゃ」 「警察官は警察官です」 「そんなもんは知らん」  浜松と名乗るその男は、訝し気に羽生を見ている。 「そもそも、なんでわしがこんなところに招かれなきゃならんのだ」 「住所と連絡先は?」 「おい、人の話を聞いとるのか」  この歳で呆けてるのか、と羽生は思った。そもそも羽生は出現事件など眉唾物だと思っている。 「はいはい、あなたの質問には後程お答えしますから、住所を教えて下さい」 「ん~、どこだったかのう」  やはり呆けているようだ、と羽生は思った。 「あなたは、どこから来たんですか?」 「何処って…ああ、ついさっきまで、宴会しとったんじゃ」 「宴会?」 「おお。酒も料理もタダでな、食べ放題、飲み放題で、そりゃあもう」  なんだ、酔っているだけか、と羽生は思った。  言われてみれば少しだけアルコール臭がするような気もする。
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