2017年12月24日(Sun)

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クリスマスイブの朝、原野向日葵(はらのひまわり)は寝坊した。 カーテンを開けると眩しい日差しが室内に降り注ぎ、庭を見下ろすとヒラヒラ揺れる洗濯物の向こう側で父親の岳人(がくと)が柴犬のハチと遊んでいた。グオーンと鈍い音がするのは、母親の純代がリビングで掃除機をかけているからだ。 着替えた向日葵は小さな包みを手にして階段を駆け下りる。 「メリークリスマス」 リビングに飛び込んで手を振ると、「何がメリークリスマスよ。もうすぐお昼ですよ」と掃除機を止めた純代が腰を伸ばした。 「うん、分かってる」 向日葵は朗らかだった。今日は、いくら叱られても腹が立つ事などないだろうと感じていた。 「昨夜は遅かったわね。若い娘が夜遅くまで出歩くものじゃないわよ」 母親の苦言にも、「ハーイ」と笑みで応えた。 「どうしたのよ。にやついて」 純代は掃除機を片付け、キッチンに立つ。 「お母さん。それに、お父さんにも話があるの」 向日葵は窓を開けて、「お父さん。ちょと来てぇー」とハチにブラシをかけている岳人に声を掛けた。
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