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二人が浴槽につかると、お湯は勢いよく溢れる。ふう、とその温もりに、思わず声を出す賢治は、前に座る翔馬に声を掛けた。
「翔馬、今夜、流星群を見に行こうか。明日は日曜日だから、ママも良いって言ってくれるだろうしな」
その言葉に、翔馬は目を輝かせる。
「りゅうせいぐん?」
「流れ星がたくさん見えるんだ。すごくきれいだぞ」
「流れ星?見たいっ」
眩しい笑顔で翔馬が笑う。つられて笑顔になった賢治は、ついに”あの出来事”を話してみたくなった。翔馬はどんな反応をするのだろうか、笑うだろうか、と息子相手に、すこし緊張しながら、訪ねる。
「なあ翔馬、パパが昔体験した、不思議な話を聞いてくれるか」
突然の申し出に、きょとんとした翔馬だが、すぐに笑顔で頷いた。
「パパのお話大好き」
「そうか、なら話そう。今から二十七年前。パパが十一歳のころのお話だ」
賢治ははにかみながら、言葉を紡ぎだす。
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