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リリスは、俺の恋人の妹だった。
仕事の関係で出会ったリリスの姉、レーラ。その関係で何度かリリスとも会った。異父姉妹で年は離れていたが、二人はとても仲が良かった。その頃の俺は、いずれ俺の妹にもなったりして、なんて浮かれたことも考えていた。
レーラの両親も、父親とはレーラとは血が繋がってないらしいが、とても仲が良かった。道場破りと道場の娘とかいうわけのわからん縁で出会ったという夫婦は、だいぶ変わっていたが、それでも俺にもよくしてくれていた。身寄りのない俺も家族の中に加えてくれて、とても嬉しかった。
一年前、レーラ達の村が、どこぞのバカ領主の起こした内乱に巻き込まれるまでは。
俺が村にたどり着いた時には、村は火の海だった。あの村は、あれ以来地図から消えた。
リリスだけを残して。
銀色の髪、青い瞳、小柄で華奢な体。この間、十歳になったばかりのリリスには、人間以外の種族の血が混じっているという。彼女の両親亡き今、詳しいことは誰もわからない。
村がなくなったあと、とりあえず国際警察軍の本部に連れ帰ったが、そこでもその希少性の高さから、権力者連中に狙われた。
それにうんざりして、リリスを守るために軍を抜けて、こうしてフリーになったわけだが、それが本当に最良の選択だったのか。今でも自信がない。
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