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電車を乗り継ぎ目的地に急ぎ、着いた時間は丁度午後7時。
良いぐらいに暗くて、不気味な雰囲気が増す時間帯だ。
廃墟も何十年か放置されている様で写真よりも不気味だ。
良い所見つけたな。
今度先輩も連れてこよう。
俺と同じ廃墟好きなあの先輩なら、写真を見せれば寄ってくるだろう。
今からもう楽しみだ。
一周ぐるっと建物の周りを見て周り、入れそうな場所を見つけた。
裏門だろうか、少し崩れているが出入りは楽そうだ。
あらかじめ持参していた懐中電灯を前にかざしながら廃墟の中へと足を踏み入れた。
入ったとたんに廃墟特有の冷たい風が頬を掠める。
割れた窓ガラスの破片が、パキパキと靴の下で音をたてた。
サッと、視界の隅に黒い影が見えた気がして振り向いた。
しかし誰も居なく、見間違いかと視線を戻すとドサドサと何かが落ちる音がした。
反射的にもう一度振り向くと、そこには廃墟とは程遠い景色が広がっていた。
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