出会い

5/5
前へ
/11ページ
次へ
『まぁ、神だしね。君の心を読むことなんて簡単だよ』 「成る程。神とは凄いものなんだな」 『そうだよ。で・・・君は何処から入ってきたんだい?』 「趣味で廃墟に入ったらここにいたんだ」 『うーん・・・あ、あった。あったけど・・・時空の歪みはもう修正しちゃったみたいだね』 「時空?歪み?」 意味が解らないな。 悪い事の様に聞こえるが・・・ 「それで、元の場所に帰れるのか?」 『・・・いや。君の存在は、もうここに来た時点で消えてしまっているんだ』 「消える・・・ ・・・じゃあ、転生とかか?」 『それも難しいかな・・・ 今は転生の欄が空いていないんだ』 「人数も決まっているんだな」 『そうなんだよ。 んー、じゃあ、転生の欄が空くまでここで過ごすというのはどうだい? ここには何でも揃っているし、君の好きな本も沢山あるから、退屈はしない筈だよ』 「・・・いいのか?」 『勿論。欄が空くのはざっと100年位だから、その間ずっとここに居るといいよ。 その代わりっていうのはなんだけど、ここの管理者になってくれないかい?』 「それくらいなら幾らでもやる。仕事内容は?」 『稀に来る天使の案内や貸し出しと返却だけだよ。 たまに盗む子が居るから、その時は僕を呼んで』 「解った」 返事をすると一冊の本を渡された。 純白の表紙に金の糸で翼の刺繍が施されている。 文字は書かれていない。 『これはこの図書館の説明書だよ。 解らないことがあったらこの本を開くといいよ』 それじゃあ、君に力を与えるねと言い、俺の額に手を置く。 暫くすると、身体中に暖かいものが流れ込んできた。 『これは魔力だよ。今、僕の魔力と一緒に情報も流し込んでいるから、読めない文字は無い筈』 「何から何まで、ありがとう」 『ううん。元はと言えば僕のせいだからね。このくらい当然だよ』 そういえば、名前を聞いてなかった気がする。 どう呼べば良いか解らないから、今のうちに聞いておこう。 「なぁ、俺はアンタの事、何て呼べば良いんだ?」 『そういえば、自己紹介していなかったね。 僕はゼウス。唯一神だよ』 「知っているとは思うが、俺は加賀美(カガミ) (ルイ)。よろしく、ゼウス」 『よろしくね、涙君』
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加