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『まぁ、神だしね。君の心を読むことなんて簡単だよ』
「成る程。神とは凄いものなんだな」
『そうだよ。で・・・君は何処から入ってきたんだい?』
「趣味で廃墟に入ったらここにいたんだ」
『うーん・・・あ、あった。あったけど・・・時空の歪みはもう修正しちゃったみたいだね』
「時空?歪み?」
意味が解らないな。
悪い事の様に聞こえるが・・・
「それで、元の場所に帰れるのか?」
『・・・いや。君の存在は、もうここに来た時点で消えてしまっているんだ』
「消える・・・
・・・じゃあ、転生とかか?」
『それも難しいかな・・・
今は転生の欄が空いていないんだ』
「人数も決まっているんだな」
『そうなんだよ。
んー、じゃあ、転生の欄が空くまでここで過ごすというのはどうだい?
ここには何でも揃っているし、君の好きな本も沢山あるから、退屈はしない筈だよ』
「・・・いいのか?」
『勿論。欄が空くのはざっと100年位だから、その間ずっとここに居るといいよ。
その代わりっていうのはなんだけど、ここの管理者になってくれないかい?』
「それくらいなら幾らでもやる。仕事内容は?」
『稀に来る天使の案内や貸し出しと返却だけだよ。
たまに盗む子が居るから、その時は僕を呼んで』
「解った」
返事をすると一冊の本を渡された。
純白の表紙に金の糸で翼の刺繍が施されている。
文字は書かれていない。
『これはこの図書館の説明書だよ。
解らないことがあったらこの本を開くといいよ』
それじゃあ、君に力を与えるねと言い、俺の額に手を置く。
暫くすると、身体中に暖かいものが流れ込んできた。
『これは魔力だよ。今、僕の魔力と一緒に情報も流し込んでいるから、読めない文字は無い筈』
「何から何まで、ありがとう」
『ううん。元はと言えば僕のせいだからね。このくらい当然だよ』
そういえば、名前を聞いてなかった気がする。
どう呼べば良いか解らないから、今のうちに聞いておこう。
「なぁ、俺はアンタの事、何て呼べば良いんだ?」
『そういえば、自己紹介していなかったね。
僕はゼウス。唯一神だよ』
「知っているとは思うが、俺は加賀美 涙。よろしく、ゼウス」
『よろしくね、涙君』
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