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パタンと音をたて、本を閉じる。
口からため息が零れた。
別に疲れた訳でも、本が面白くなかった訳でもないが、無意識に出てしまう。
『ため息なんてついたら、幸せが逃げちゃうよ?』
「・・・ん?いたのか、ゼウス」
『丁度一時間前くらいからずっといるよ?涙君は本に集中していて気づかなかったみたいだけど』
「・・・悪い」
『責めている訳じゃないよ。ただ、集中力が凄いねっていう話』
「ここに来てから上がった気がするんだが」
『僕は何もしていないよ。静かだからじゃない?』
どうだろうか。
それだけで上がる気はしないんだが。
『それにしても、昨日からずっと読んでいるの?』
「ああ。30冊くらいは読んだぞ」
『さ、流石だね・・・
なら、少し休憩しようよ。君の好きなケーキと紅茶を持ってきたんだ』
「む・・・有難う」
本をもとの場所に戻し、カウンターに椅子を並べる。
向き合う様に座り、ゼウスが紅茶を淹れ始めた。
ケーキは珈琲とも合うが、俺は紅茶派だ。
特にアールグレイが好きだ。他にも、キーモンやディンブラ等も好んで飲んでいた。
「・・・キャンディか」
『香りで分かるなんて、凄いね』
「母さんが好きだったんだよ。俺はアールグレイ派だ」
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