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N県M市のSヶ原にて、黒き火種が燃え上がろうとしていた。
闇よりも暗い色をした鎧を身に纏い、感情の失われた眼光で街を見下ろすのは破壊騎士ガルヴァ。かつては高潔な騎士として日本の平和を守っていたヒーローだったが、世界の転覆を願う悪魔王の改造により別人へと作り変えられてしまった。
人を守る優しき心は破壊衝動に塗りつぶされ、破壊に不必要な感情は何年も前に消え去った。破壊騎士と呼ばれるようになった彼が成すのは破壊のみ。そこに一切の情はなく、破壊騎士ガルヴァは主の命に応じて何もかもを破壊してきた。
けれど、彼にも騎士としての矜持が少なからず残っていたらしい。
彼が訪れたのは生ける伝説と呼ばれる五人組ヒーローが拠点とする街。強い相手と剣を交えたいという騎士の心が彼をここに呼び寄せたのだ。
もしガルヴァが生ける伝説を討ち亡ぼすことができたなら、最強のヒーローを失った日本を手中に収めるのは簡単だ。今、ひっそりと始まろうとしているのは日本の命運をかけた戦い。
生ける伝説と生ける災いの、世界の命運を揺らす一大決戦である。
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