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それに思うところがあったのか、レッドは顔をすっぽりと隠す仮面の奥で眉をゆがませた。外からだと表情は見えないが、面倒だと言わんばかりの態度で座り込み、ヒーロースーツの尻ポケットから煙草を取り出すそのしぐさは彼の気持ちを十全に物語っている。
「あ、あの……れ、レッド兄さんっ。その、煙草は子どもが真似するから吸わないようにって言われますよね……? 前に本部から怒られたばかりですし、見つかると何を言われるか……」
グリーンがレッドに話しかけるが、あまりにも気弱な態度のせいかレッドはどこ吹く風だった。体から炎を生み出す能力を使い、煙草の先に火をつけている。
「だ、だから、その……」
「だあぁ! 相変わらずうぜぇなグリーンは。お前の能力で人が来ねーように結界張ってんだから別にいいだろうがッ」
「で、でも……。あっ、その、スーツに煙草を押し付けるのは……えっと……」
レッドとグリーンが話すその横で、ブルーは深くため息を吐く。
「やめておけグリーン。知能指数の低い猿に高尚な人間の言葉を理解できるはずがない」
「んだとキザ野郎、消し炭になりたいって言ったか!?」
「やはり言葉が通じていないな。煙草などという有害指定物質を主食とする異端猿はとっとと標本にしてしまえばいい」
「はんっ、標本にされるなんつぅことになったら地球が太陽になるまで燃やし尽くしてやる」
「その必要はない。煙草に火をつける程度の力しかないその炎、俺の氷で完璧に凍らやろう。たとえば、こんな風に」
ブルーが右手で指を鳴らすと、レッドが口にくわえている煙草が根本から氷漬けになる。
だが、そのすぐ後に煙草が燃え上がって氷ごと消し炭になった。
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