異界の地

2/3
前へ
/12ページ
次へ
少年にとってその日は、いつもと同じ朝だった。漁師の父親と共に漁船に乗り、魚を釣りに行くだけの。ただいつもと違っていたのは、船の近くで少女が浮いていた事だったーー。  あんな子、産まなきゃ良かった。お前が産んだんだから、お前が責任持つものだろうが!好きで産んだんじゃない!アンタが産めばいいって言ったんじゃないか!なんだと!?オレが悪いって言うのか?大体、お前がしっかりしないから……… そうだ!名案じゃないか!遠い所に置き去りにすれば良いんだ!よし!…計画はこうだ!…………!へえ、アンタにしちゃあ、良い案だ。そうしようか。 記憶が走馬灯の様に流れてゆくーー ああ、死ぬのか。死ぬ前に記憶が頭を過るなんて、なんて嫌な終わり方なんだろう。 せめて、最後は真っ暗な闇に包まれて彼の笑顔を思い出して、死にたかった。 ろ……き…ろ! 起きろ!!
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加