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「起きろ!」
ゴホッ! ゴホッ!
口と鼻から水が溢れた。
「起きた!父ちゃん、起きたよ!」
ぼやけた視界で見えた天井と鼓膜に響く少年の声。
ああ、またか。水中で呼吸が出来た気がした。夢だったのだろうか。夢に決まってる。じゃあ何故私は生きているのだろう。あんな長い間水の中にいて…。
「…ちゃん!…姉ちゃん!」
「……何?」
「大丈夫か?海に浮いてるのを俺が見つけたんだ。」
「……助けてくれてありがとう。あげられる物は何も無いけど。」
「何もいらないさ。そんな事より、食事出来そうか?今、父ちゃんが持って来るから。」
階段を上がる音が近づいてきたかと思うと、筋肉質の男が部屋に入って来た。
お盆を持っており、その上にはパンとスープが乗せられていた。
「お嬢さん、お食べ。身体が温まるスープとパンだ。」
テーブルの上に置かれた食事から漂う香りにお腹が鳴った。
ベッドから降りてテーブルにつくと、両手を合わせてから口に入れた。
「美味いだろ?父ちゃんオリジナルスープ!!
父ちゃん、俺も食べる!」
「お前は朝、何杯も食べただろ?」
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