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「…は?」
男は楓の唐突な行動に唖然としたまま、見送ってしまった。
一拍おいて、後を追う為走り出す。
「…っおい!待て!」
そして、その光景を見ていた船員達は、口を開き出す。
「なんか、あの子ヤバくないか?」
「ああ、様子がおかしかったな」
「よし!俺達も追うか!!」
「「「おー!!」」」
「嫌な予感…」
楓が飛び込んだのは、コックが料理をつくる場所、そう、厨房だった。
そして、真っ先に探す。目的のモノを。
彼女がそれを手にするのと、男が追いつくのは同時だった。
男は気付き、叫んだ。
「待て!!助けた命を無駄にするな!」
その声は厨房にいたコックにも届き、楓を見て驚愕した。何故なら、彼女は手に包丁を持って自分自身に向けていたからである。
「何これ?どういう状況?」
「ルーク、話は後だ。彼女を止めろ。」
「何で…!何で助けたの??!!」
楓の叫び声に二人の男は険しい顔をした。
追ってきた男が口を開く。
「…死にたかったのか。」
「そうよ!死にたかったの!!何で助けたのよ!そのまま沈ませたままにしておけば良かったのに!」
「そんなに、生きる事は辛いか?」
「は、はああ?き、決まってるじゃない!!」
「じゃあ、俺が救ってやる」
男の言葉に今度は別の男達が騒ぎ出す。
「船長、何言ってんですか!?」
唖然としていた楓は、すぐ我に返ると、船長と呼ばれた男を睨みつけた。
船長は優しく楓に話しかける。
「もう一度言う。俺が救ってやるから、ナイフを下ろして一旦こっちに来い。少し、話をしよう。」
男達がまた騒ぎ出す。
楓は笑い出した。泣きながら。
「頭、大丈夫?あんたがアタシをどう救うの?」
「俺が絶望から救ってやる。」
「……話にならない。」
「無理だとでも?」
「無駄な話はしない主義なの。死は私を救ってくれる、それは真実。」
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