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夜2
「懲りねぇな」
ため息をつくと、翔と視線が合った。大柄な男はロフトの天井にぶつからないよう、身体を屈めてこちらへ進み、ベッドマットの端へ腰を下ろす。大きく広げて投げ出していた足が、沈んだマットの傾斜を感じる。律義に向けられたままの視線を、松岡は黙って見つめ返した。
「こいつが無理言ってすいません」
「……どうせ勃たねぇし、そのうち諦めるだろ」
階段の方へ顔を向ければ、下の明かりが壁を白々しく照らしている。対照的に、ロフト側は顔は視認出来るものの暗い。背中に感じた冷気に身を震わせる。階段と反対の窓を見れば、窓辺に積もった雪が見えた。
ぎしりとスプリングを軋ませ、翔がこちらへ身を乗り出した。
思わず息を止め、身を硬くする。考えないようにしていた期待が頭をかすめた。
翔は窓へ手を伸ばし、じゃっと音を立ててカーテンを閉めると、元いたマットの隅へ戻る。寒気を感じた松岡を気遣ってくれたらしい。
「ん!」
股間を咥えたままの倫太郎が、嬉し気な声を上げる。松岡は舌打ちしたいのを堪えた。
口をはなした倫太郎は、唾液まみれの根本をしごきながら、悩まし気に唸る。
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