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「んー、ちょっと勃った……けど、これじゃ中折れしちゃうかなぁ」
胴回りが少しは太くなったものの、手が添えられていなければ、上向けない程度だ。
いくらか膨れたが柔らかいままのそれを手にしたまま、倫太郎が顔を上げる。長い睫毛に縁どられた小さな黒目が、楽し気にきらめいている。松岡は嫌な予感に眉根を寄せた。
「おい、そろそろ勘弁しろ」
「どうしよっかな」
にこりと笑って首を傾げる。何か企んでいる顔だ。
初めて彼らと寝たのは、二人が組から逃げ出す直前だった。翔のあまりに下手なセックスが見ていられず、指導代わりに倫太郎を抱いたのだが、その際、倫太郎に感づかれている。
感づかれたといっても、自分が翔に欲情するというだけの話だ。バイであることを隠す気もないし、知られたとしてもやましいこともない。確かに翔に目を掛けてはいたが、恋だの愛だのいうつもりはない。
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