夜2

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 スプリングが重たげに軋む音がしたかと思うと、倫太郎の背後から翔が覗き込んでいた。まだ松岡を心配しているのか、不安げな表情だったが、視線はほっそりとした指が沈む先へ向けられていた。 ――見られてる。  悦びたがる身体をなだめるように、松岡は目を閉じ、倫太郎の指の動きに集中した。指が三本に増え、奥へ突き立てられる。  今までで一番の圧迫感が襲う。  ぐっ、ぐっと押される度に、重苦しい何かが生まれ、松岡の吐息を乱す。 「ウサギ、持ってて」  掴まれていた膝から倫太郎の手が離れ、代わりに大きな手が支えた。硬い皮膚に包まれた熱い手が、緩んだ白い肌をわし掴む。  素早く全裸になった倫太郎が唇を舐めながら、コンドームの封を切った。倫太郎の方はすっかり勃起したらしい。くるくるとゴムを伸ばし、自身にかぶせていく。それを翔と二人でじっと待つ。  根本まで装着し終えると、倫太郎の手が松岡の左膝を上げ、緩んだ陰嚢とその奥が二人の眼前へ晒される。  先端を窄みへ擦り付けるのは馴染んだ動作だが、される側になってみると全てを差し出すような心もとない気分だ。 「入れるよ」  掲げた足を掴んだ二人の手に、力がこもる。じりじりするほどのスピードで、肉茎に身体の内を侵食された。  両足を上げた苦しい体勢で、さらなる苦しさを受け入れる。それは松岡にとって新しい感覚だった。  そこからは誰もしゃべらなかった。
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