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「ようこそ、私の工房へ」
中から出て来た職人の青年は、依頼主としてギルドを訪れた時とはまるで別人の様に汚ならしい格好だった。不精ひげで油にまみれて黒ずんだデニムの作業着は、所々破れており、補修した跡のひとつも見当たらなかった。
「先ずは、コンクールの入選おめでとう」
「ありがとうございます。しかし、入選したからと言って私の製作理念の変わる事も無ければ、金賞の作品をパクるつもりもない。今まで通りの私の理念を貫いて行きますよ。まぁ、他の入選作品には参考になる技術の沢山あるのも事実ですから、参加してその中で入選する意味はあると思いますが。まぁ、今日はゆっくりと楽しんでいって下さい。ヘタなコンクールを見に行くより楽しいと思いますよ」
どうやら、気難しいところのある人らしい。職人とは、そういうものなのだろう。と、クリスは思った。それと同時に、ドラゴンの素材の作品はあるか? と聞いた時に、もしも無かった場合、面倒な事になりそうなのでそこは黙っておこうとも思った。
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