第一章 喧嘩

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一年前、友達へのプレゼントを巡って喧嘩になった。 趣味も好きなものも無い友達。 彼女は嫌いなものが沢山あるので削除方法で選ぶと、好きだと言っていたキャクターグッズ以外は選択肢が無くなるのだ。冬の誕生日だった彼女なので防寒具や雑貨ならば喜んでくれると信じてプレゼントを贈っていたのが‘ダメ’だったようだ。 去年の誕生日。 プレゼントも持って彼女と逢った。 プレゼントを渡す間もなくラッピングした袋から透けて見えたキャラクターを見て彼女は言う。 「私、もう、そのキャラクター卒業したんですけど?くれるから使いはするけど私が好きじゃないことすら聴いてないんだね。」と言ってきた。 「ありがとう」でも無く、受け取る事も無く。 好きなものをいくら聴いても‘無い’の一点張りだったので、今回もキャラクターグッズの鞄を、と想って選んだ。鞄なら買い物にでも使えるだろうし、絵柄が気に入らなくてもエコバッグ程度には役立つのでは・・・と自分としては考えたつもりが。 渡す前から文句を言われた。 あまりにも頭にきて「渡す前から、そこまで言う事あるのかな?」と言い返したことで言い合いが始まった。 「欲しいなんて一言も言っていない」 と言われても「要らないってこと・・・?」と言うと「だから、プレゼントが欲しいなんて言ってないでしょ」と拒否。 そこまで言い返されては、渡そうとしたプレゼントを引き戻すしか無かった。 「お礼を言ってほしいわけでは無いけど友達がプレゼントを渡そうとして、いきなりそれは無いんじゃない?‘ありがとう’って受け取ることも出来ないの?」と言うと「ふーん、それが本心ですか。はいはい、ありがとう、これで気が済んだ?」と。 なんて心が腐ってしまっているんだろう。 こんな子だったのか?・・・こんな子だった、のだろう。 けれど、もう何年も彼女の我儘に耐えていたので我慢も限界だった。 ついに自分もキレたのだ。 「じゃあ、いいよ。プレゼントする相手を想って用意したけれど、そんな頑なに拒否されるのなら・・・」立ち上がってゴミ箱へ捨ててしまった。 大人げなかったとは想う。 だけど、もう我慢の限界だった。
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