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葵が自殺した日も、妃莉が自殺した日と同じで見事な快晴だった。私は気分が良くて、いつも通り友達と話して過ごしていたの。放課後に掃除が終わって、携帯を確認したら、葵からメールが来ていた。メールの文面には「17時30分頃に温室近くの用具室に来て。」って書かれていたよ。何事かなと思いながら、私は一時間ぐらい適当に時間を潰して、その用具室に行った。するとそこには、首を吊った葵がいたの。ぶら下がっていたから、降ろしてあげなきゃって思って、近くの椅子に乗ってロープを解いた。刑事ドラマでは死体はきれいだけど、時間が経ちすぎたら、そんなきれいな死体にはならないことを私は知っていたから。 葵はもちろんその時には死んでいた。私はしばらく泣き続けて、そこから動けなくなってしまった。だけど、ふと周りを見た時に妙にきれいな紙があることに気が付いたの。それは、葵が私に向けて書いたものだった。初めの行には、ごめんねって書かれていたよ……。時折文面が読めなくなりながら、私はその手紙を読んだ。そこには、自分が自殺した後、他殺に見せかけて欲しいって書かれていたの。私は凄く驚いた。そんなことも出来ないって思った。だけど、「三人の思い出をどうしても守りたかった」っていう言葉を見た時、私は葵と妃莉の為にやらなくちゃいけないって思ったの。だから、用具室から温室まで妃莉を運んだ。本来は頭部を殴るとかするべきだったんだろうけど、私にはできなかった。本当、皐月ちゃんが言った通りだよ。 だから、死体をきれいに置いといた。そして、花も置いといたの。先生が気づいてくれるんじゃないかって思って。温室にいた時、何もかもどうでもよくなったの。自分が加担していたことがばれて、学校に居場所がなくなってもいいと思った。ただ、この温室さえ残ればいいって。先生なら、私が犯人だと気づくと思った。 先生は気づいていたのかな……。
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