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時間が経って、響葉が少し落ち着き、私は見つけたものを渡した。
「これは、何?」
「青い花の栞は、仲村さんの手紙に近くに置かれていたんだよ。見つけた時は、紙がマスキングテープで貼られてて、紙に水野さんへって書かれていたの。その花、何か分かる?」
「分からない、でも私の好きな色だね。」
「それは、カキツバタ。花言葉は、幸せは必ずくる、だよ。」
響葉は驚いた顔をしながら、嬉しそうにその栞を見ていた。
「私からも渡すものがあるんだ。」
吉田はそう言って、赤いガーベラの栞を渡した。
「私には似合わない色だね。これも誰かが私に作ってくれたの?」
「これは、相田さんからだよ。仲村さんと響葉ちゃんに渡さないとと思って、取っておいたんだって。先生は相田さんに私に何かあったら、これを渡してって言われていたんだって。先生に花言葉を聞いたら、「常に前進」「限りなき挑戦」っていう意味だって教えてくれたよ。」
二人とも優しいよね、そう呟いて響葉は笑った。花で思いを伝える、私にはその発想は無かったけど、三人は花で繋がっているんだろうなと思った。そして、きっと二人の思いは、響葉に届いた。あの二人は最期まで友達を思い続けていた。それが、伝わって来るような物だった。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。その前に寄りたいところがあるんだけど、響葉時間ある?」
「あるけど、どこ行くの?」
「橘先生のところ。」
そう言うと、響葉は少し困った表情をしていたけど、私と吉田はそれに構わず、二人で無理矢理連れていった。
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