ある思索

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 ある星では、土地は乾いていたけど、人々は笑って生きていた。  ある星では、水が塊になっていた。  ある星では、土塊だけが覆っていた。  ある星では、ある星では、ある星では、ある星では…。  気づいたら、宇宙は暖かくて、刺すようだった光は柔らかく包み込まれていた。  ああ、これが宇宙。これが星々。これが時間。全ては僕が怯えていただけだったんだ。  さあ行こう、どこまでも行ける。  もうすぐだ、と僕が言った。隣を見ても、後ろを見ても、僕がどこにもいない。  怖い。  僕がどこにもない。僕はどこにもいない。  怖い。  「違うさ。僕は僕で、ここにいるのさ」  耳元で僕が囁く。答えは得た。僕が、僕からもらった答え。  これを持てば、宇宙の果てまでも。  宇宙の果ては、案外近かった。  黒くて、暗くて、でも暖かかった。  宇宙の淵で、まだ生まれない星々が産声を上げる時を待っていた。  なんて愛らしい子どもたちだろう。  形も、大きさも、色も、光も、一つとして同じものはない。  それこそ宇宙の真理、星の真理、生命の真理。  僕は真理を見たんだと、その時確信した。  確信を持てば、どこへも行ける。  さあどこへ行こう。  そんなのは自明の理。  僕は、僕の星に帰るだけ。  僕の星で、僕は僕としてあるんだ。     
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