紡ぎ手

5/9
前へ
/9ページ
次へ
命短し紡げよ文人 異常気象の暑さに負けたのか 俺の器官はこまめに詰まる 命短し紡げよ文人 薬を飲めば詰まりはなくなる しかしそれもその場しのぎ 命短し紡げよ文人 川の向こうに徒花畑が見えていた 愛しい女が手を振った 命短し紡げよ文人 愛しい女が「どうぞこちらへ」と 優しい目をして笑うのだ 命短し紡げよ文人 しかし俺は紡がねばならぬ 流星群が俺を離さぬ 命短し紡げよ文人 「待つわ、ずっと待つわ」 愛しい女が笑ってる 命短し紡げよ文人 「アンタが死ねば万々歳やわ」 俺の中の穢多非人は、悲しげにカラコロ笑う 命短し紡げよ文人 どうやら俺はまだ死ねぬ 愛しい女よ、またいつか
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加