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あらすじ
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
徳永は、混乱した。目覚めたばかりで薄ぼんやりな記憶なのに、ここがどこなのかすぐわかったのは、つい先ほど、自ら身を投げたはずの場所だったからだ。
どうせ死ぬなら女のひとりやふたり抱いてから死ぬか、と立ち寄った風俗ビルの6階の、屋外階段の踊り場。そこに、死ぬどころか傷一つなく寝転がっている。
動揺する徳永の前にどこからともなく男が現れる。「そんな簡単に死ねると思うなっつーの」
男は「塩屋」と名乗った。「冥界の人事を担当しています」「・・・死神?」「それ、日本人指してニンジャだ!って言うようなもんなんだけど・・・まぁいいや。そんな感じ」
どう見ても普通の大学生にしか見えない「人事」塩屋によれば、現世の自殺者の数が増え、冥界の人口に影響をきたしているという。そこで冥界政府が立ち上げた政策が「冥活」。自殺志願者に対して試験を義務づけ、いかに死にたいか、いかに自分が死ぬ必要があるかをアピールしてもらうというもの。徳永は塩屋の指導の下、「冥活生」としてES作成や面接練習を始める。
その中で、バイト先のコンビニの常連客の女子高生・梓や、40歳を前に職場の出世コースから外れ、妻とは離婚調停中の会社員で「冥活生」の田口と出会い、徳永自身も自分の人生に向き合い始める・・・。
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