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1面の大海原が拡がるその上空。
コアジサシのザジは、リーダーのセスの後を他のコアジサシ達と共に付いていった。
・・・南の島ってどういう所だろうか・・・?
・・・とても、素晴らしい夢のような・・・
リーダーのセスは、南の島への誘導よりタグを置いてきた後悔と、あれから口も聞いてくれないキコの事が心配だった。
・・・キコ・・・ごめんな・・・
・・・仲間皆を助けるには、こうするしか無かったんだ・・・!
すい・・・
ザジの側に、1羽のコアジサシがランデブーしてきた。
「ザジ、無事だったのね!!」
・・・あっ・・・?
「お前のパパだ!!ザジ!!」
「パパ!!」
ザジの父のゲゼは、雛の時より精悍になったザジの体つきや翼を宥めるように見た。
「これでお前は、ひとりでもやっていけるね。」
「大丈夫です。それより・・・」
「ママ?ママなら大丈夫だ。胸に、あの時カラスの奴に爪で引っかけられた傷つけられたけどな。」
「パパ・・・」
パパコアジサシのゲゼは、優しく見詰めるとこう言った。
「ところで・・・」
「南の国って、何処に有るのかお前は知ってるの?」
・・・はっ・・・?!
ザジは、余りにも肝心な事を指摘されて顔が青ざめた。
「それで良く『リーダー』としてやっていけるね?
俺は南の国への行き先を知っている。『リーダー』交代だな?」
・・・なにそれ・・・?!
父コアジサシのゲゼは、息子コアジサシのザジの前に出た。
「よし、俺についてこい。」
・・・ちょ・・・ちょっと勝手に・・・!!
ゲゼを先頭にザジが続き、コアジサシの群れは、下に1面の大海原が拡がる大空を飛んでいった。
「あれは、バンドウイルカの群れだ」
「あれはマンタ。」
「おおっ!!ジュゴンが泳いでる?」
「あれはウミガメ?」
「ジンベエザメでけーー!!」
「ホホジロザメこわっ!!」
「わーーい!シャチだ!!シャチだ!!」
「パンダイルカ?可愛い!!」
「あれはスジイルカ?」
コアジサシ達は大海原の中に見え隠れしたり、飛び出してくる生き物達を見掛ける度に、歓声があがった。
「どうだい?!これが『海』だ。海には、いろんな仲間達が住んでいるんだ。」
「うわー逢いたいなあ。一緒に遊びたい!!」
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