2#行くんだ!!遥かな南の国へ!!

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 「な、なんじゃこりゃーーーーー!!」  コアジサシの雛達がようやく一人前に飛べるようになった直後の事だった。  コアジサシのコロニーの廻りに張り巡らされた、金色のメタリックのギラギラした鳥避けのテープ。  砂利の地には、ロープが張られ所々にブルーシートが敷かれて、コアジサシの侵入を防いであった。  そして、建設業者の車が行き交いして建設用具が次々と置かれていった。  「これは・・・!!」  「なんなんだ?!」  「人間の仕業だっ!!」  「私達、いったい何をしたの?!」  「もう我慢できない!!ここは俺らの場所だ!!」  突然、1羽がコロニーの筈の人間が占領した砂利場所に飛び込もうとした。  ダーーーーン!!  ダーーーーン!!  ダーーーーン!!  ダーーーーン!!  「あぶないっ!!」  「ひゃっ!!」  それは、鳥避けの空砲だった。  建設業者が、倉庫建設に邪魔なこの『害鳥』を追い払う為に銃の空砲を撃ったのだった。  「あきらめろ・・・もうここはダメだ・・・」  「そんなこと言ったって・・・!!」  「じゃあ、何処へ行けばいいんだ?!」    棲みかを追われたコアジサシ達は仕方無く、流浪の旅に出掛けた。  流浪の旅は、過酷極まり無かった。  ざざ・・・  ざざ・・・  ざざ・・・  ざざ・・・  まずはコアジサシ達は、海岸に移動した。  海岸は、雛アジサシにとって格好の練習場所となった。  親鳥は、飛ぶのが覚束無い雛を餌で引き付けて、大空へ羽ばたかせる訓練をしたり、既に何とか飛べる雛達は・・・  「よっ!ほっ!」  雛アジサシのザジは、海上でホバリングの練習をしていた。  「あっ、あんた。良かった無事で。」  「あれ?君は・・・」  ザジは、話しかけた雛アジサシが何処かで見掛けたような気がした。  「そうよ!私、巣が隣り合わせだったでしょ?」  「そうだっけ?」  「とぼけないで!私、『キコ』よ。確か灼熱の巣でお互いフラフラしてたでしょ?」  「あ、そうだ。思い出した。言ってなかったっけ?俺は『ザジ』。宜しくね。」  2羽のコアジサシはお互い空中でホバリングしながら、向き合っていた。    ひゅんっ!  「うわっ!誰だよ?!」  ザジの側へ突然1羽のコアジサシが接近してきた。    ひゅんっ!    
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