第7章 新たな波乱

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 そんなイルの言葉を聞き、幸隆は「僕が?」そう聞いてくる。その言葉に、イルは何でもないと答えた。  その返答を聞き、幸隆はイルの冷たくなった頬をそっと触る。 「ん……」  その少し温かい温もりに、イルは心からホッとする自分を素直に感じた。 「ルイがあいつ……大樹だっけ? そいつとイルは先に帰ったって言ったんだけど、なんか信じられなくてさ……」 「え……?」 「お前が待ってないって絶対に無い。そう思って、ルイを家の近くまで送ってから戻って来てみた……そしたら、やっぱりお前がいた……」  幸隆はそう言うと、続けて小さく「ごめん……」と、イルに謝って来た。 「なんで幸隆が謝るの?」  イルは自分を責めている幸隆にそう笑みを向け聞く。そして、汗ばみ、冷たくなった頬にそっと触れた。 (走って来てくれたんだ……)  試合が終わって疲れているはずなのに、イルがまだ学校にいると思って走って戻って来てくれた。  それを想うと涙が出た。 「っ……」 「なっ、さっ寒いか!? そっ、そうだよなっ。早く帰るぞっ」  幸隆はイルが寒さに辛くなって泣き出したと思ったのか、そう言って慌てだした。  そんな幸隆を見て、イルはクスッと笑ってしまう。
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