第7章 新たな波乱

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 こんな風に慌てた幸隆は珍しい。余程、イルを心配しているようだ。 「あー、寒かったー。幸隆、ココア飲みたい。買って」 「分かってるよ。コンビニ寄ってくつもりだった」 「わーい」  イルはどさくさに紛れて幸隆の腕をギュッと抱き締めた。なんだか、そうしたい気分になったのだ。 「なんだ? 珍しい」 「だって、寒いからさー」  そう言ってはぐらかすイル。  本当はこんな事するのも恥ずかしく、内心ではドキドキしている。でも、周りに人がいないのを確認したから大丈夫。それに、長くしがみ付くつもりは全くない。 「さー、早く行こう。あっつーいココア早く飲みた……ンッ!?」  でも、幸隆の腕から離れた瞬間。唇が一瞬だけ温かい物に触れた。 「なっ!」 「少しは熱くなったろ?」 「ばっ、馬鹿じゃないのっ!? きっ、キスなんて……」 「良いだろ。今日のご褒美」 「ご、ご褒美って……」 「ほら、行くぞ」  幸隆はそう言ってイルの前をゆっくりと歩き出す。そんな幸隆の背に、イルは赤面した顔をマフラーで隠しながらトコトコと横に並んだ。 「……ピザまん追加」  そして、そうぼそっと呟く。 「はいはい」 「あと、あと……」 「あとはコンビニに付いてから決めれば良いだろ」 「なら、いっぱい買ってもーらお」  イルはそう言うとニコッと笑い、手を繋ぎたい気持ちをぐっと我慢しながら、幸隆と共にコンビニへと向かったのだった。
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