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イルは幸隆が何かを言いたそうな顔をしているのが分かり、家の門の前で止まる。
「二十五日……本当にお前の気持ち……教えてくれるのか?」
「え……?」
「ま、まぁ……分かってるけどな……お前が俺の事どう想ってるかなんて。でも、お前がその日に答えを出すつもりなら、俺はその日の答えに従うつもりだ」
「幸隆……」
「それが、どんな答えでも……俺は受け入れる」
幸隆はそう言うとイルの冷たい頬にそっと触れ、その頬にちゅっと優しくキスを落とした。
「愛してる……」
その唇は名残惜しそうにイルの頬から離れると、幸隆自身も静かにイルから離れていった。
そして、幸隆は一度も振り返る事なくそのまま家へと帰って行った。
「幸隆……」
イルは幸隆にキスをされた頬に触れ、小さく幸隆の名を呼ぶ。そして、早くクリスマスが来るのを待ち遠しく感じながら、静かに家の中へと入ったのだった。
「ただいま……」
家の中は静かだった。家政婦も誰もいないようだ。でも、階段の上からルイの声が聞こえて来て、イルの名を呼んだ。
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