第7章 新たな波乱

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 もしここで〝そうだ〟と言ったら、ルイは絶対に付いて来る。そう思ったからだ。  そんな事になったら幸隆はイルの返事を勘違いしてしまい、全てが壊れてしまう。  それだけは避けたかった。 「……まぁ、いいわ。私もクリスマスは大樹と予定入れたし」 「そ、そうなんだ……」  その言葉に、あからさまにホッとしてしまったイル。ルイに予定があれば、出る時間をずらせばバレる心配はないと思ったからだ。 「うん。じゃ、私また出掛けるからお留守番よろしくー」 「行ってらっしゃい……」  パタン---玄関のドアが閉じた音。その音を聞き、イルはその場で崩れた。  両手には手汗が滲み、今の数分で自分がどれだけ緊張していたのかを感じる。 「邪魔されないようにしなきゃ……」  幸隆に自分の気持ちを伝えるまでは安心しきっては駄目。幸隆の自分への想いも、全てそうだ。  イルはその日からクリスマスまで慎重に過ごした。慎重過ぎて胃が痛くなるくらい慎重だった。  そして、その日がようやく来てくれて、イルは寝る事なく、あの白いワンピースを見詰めた。
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