第8章 白いワンピース

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 さっき部屋に来た時に見えたらしい。まぁ、あんな風に飾っていたら目に付くのも仕方なかった。だから、イルは素直な返答を返した。 「今日も女の子の格好で行くんだ」 「う、うん」 「遊ぶ子って、この間邦道の隣にいた可愛い子?」 「え……? あ、そう……」 「ふーん。あの子邦道の恋人でしょ?」 「うん」 「邦道も男に走るとはね。あんたの周りってゲイが多いの?」 「そう言うわけじゃ……たまたまじゃないかな……」 「ふーん」  ルイはそう言うとスマホを弄り、そのまま会話は途切れ、イルは手だけを動かした。 「あ、ほらできたよ。こんな感じで良い?」  コテで巻いてからハーフアップにしたアレンジは、ふわふわっとした感じに仕上がり、ルイを更に美しくしてくれた。  そのまま出掛けても誰もが振り返るほど綺麗になった。 「うん、ありがとー。これで出掛けられる」 「気に入って貰えて良かった。あっ、僕もそろそろ時間だから部屋に戻……」  ろうとした。戻って支度をしようとした。でも、ルイがイルの手首を掴み、それができない。 「ルイ……?」 「あの白いワンピース着て幸隆と会うんでしょ?」 「!」 「邦道の恋人と会うなんて嘘。そんなの分かってる」 「ごめ……」  ルイが分かっている事をイルも分かっていた。けれど、それをルイが言わないかぎり自ら触れる事はしなかった。
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