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さっき部屋に来た時に見えたらしい。まぁ、あんな風に飾っていたら目に付くのも仕方なかった。だから、イルは素直な返答を返した。
「今日も女の子の格好で行くんだ」
「う、うん」
「遊ぶ子って、この間邦道の隣にいた可愛い子?」
「え……? あ、そう……」
「ふーん。あの子邦道の恋人でしょ?」
「うん」
「邦道も男に走るとはね。あんたの周りってゲイが多いの?」
「そう言うわけじゃ……たまたまじゃないかな……」
「ふーん」
ルイはそう言うとスマホを弄り、そのまま会話は途切れ、イルは手だけを動かした。
「あ、ほらできたよ。こんな感じで良い?」
コテで巻いてからハーフアップにしたアレンジは、ふわふわっとした感じに仕上がり、ルイを更に美しくしてくれた。
そのまま出掛けても誰もが振り返るほど綺麗になった。
「うん、ありがとー。これで出掛けられる」
「気に入って貰えて良かった。あっ、僕もそろそろ時間だから部屋に戻……」
ろうとした。戻って支度をしようとした。でも、ルイがイルの手首を掴み、それができない。
「ルイ……?」
「あの白いワンピース着て幸隆と会うんでしょ?」
「!」
「邦道の恋人と会うなんて嘘。そんなの分かってる」
「ごめ……」
ルイが分かっている事をイルも分かっていた。けれど、それをルイが言わないかぎり自ら触れる事はしなかった。
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