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あの日からイルの生活が一変した。
母はその日に小鳥遊にイルがモデルを引き受けた事を話し、小鳥遊はその一週間後、イルを小鳥遊が設立している事務所へと招いた。
イルは事務所に入るなり、お人形のように何着もの女の子の服を着せられ、写真も数枚スマホで撮られた。
「可愛い……」
小鳥遊がデザインする服はどれも可愛く、フリルが特徴な物が多かった。
色はピンクやイエロー。時々パープルなど、カラーが明るい物から渋めの物まで幅が広く、着ているイルもその色味や服のデザインに心がワクワクした。
「イル、その服とっても似合ってるわ! さすが小鳥遊さんね、ミニスカートの中にフリルが入ってるとふわっとしててそんなに短さが際立たないわ!」
「ハハハッ、そうでしょー。前々からルイちゃんの為にイメージしてたのよ。でも、イルちゃんが着てくれるって言ってくれて良かったわー。全部ボツになる所だった」
そう言って、小鳥遊は金縁の眼鏡をクイッと上げる。
「そんなの私がさせないわ! 小鳥遊さんの服は私にとって宝石よりも高価な物なんだから!」
イルの母は小鳥遊のその言葉に座っていた椅子を音を立てながら立ち、勢い良く小鳥遊にそう言った。
イルの母は昔から〝タカナシ〟ブランドが大好きで、常に小鳥遊が手掛けた服を身に付けていた。だから、この話しが来た時、何が何でもルイに手伝いをさせたかったようだ。
結果、イルがする羽目になったのだが……。
「本当、夢みたい。自分の子供が小鳥遊さんのお手伝いしてるなんて」
「イルちゃんは服に着せられてる感じがしないから、適任だったようね」
そう言って二人はイルを褒めるが、果たしてそれは良い事なのだろうか。
「二人は、男の子が女の子の服を着るって変って思わないの?」
イルはさっきから二人の会話を聞いていて疑問に思っていた事をさらっと二人に聞いてみる事にした。
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